愛!愛ありゃこそ!イーアー!!ができるまで

プロフィール

オカダ ケンタ
オカダ ケンタ

1980年大阪府生まれ。
2010年、CONSCIOUSとの運命的な出会いを果たし、「愛! 愛ありゃこそ! イーアー!!」の制作に携わる。現在、大阪の制作会社にグラフィックデザイナーとして勤務。

平山 健宣
平山 健宣

setten design 主宰
京都造形芸術大学非常勤講師
タイポグラフィを軸とし、紙媒体を中心にデザインを手がける。

とにかく、金がないんです! [収録日]2010.5.4

  • オカダ ケンタ
  • 平山 健宣
  • あめのもりたけし

思い起こせばですね。一番はじめに平山さんに「本を作りたいんです」というのを伝えたのは、2009年の頭くらいやったと思うんです。

俺もまだ会社におったよな。

いや、平山さんはもう独立してましたよ。

あ、そう? そうか。

なんでそんな嘘つくん? 乗ッケから。

(笑)

僕がもともと本を作りたいって思ったのは、自費出版専門の出版社が「無料で本を出版します!」的なキャンペーンをやってて。それに応募するために原稿を用意してたんですね。ただそのキャンペーンには当選しなくて、宙ぶらりんな原稿をカタチにしたいなって思って。

そうやったなぁ。

僕は「金がないし、ページをかせぐためにムダのない文字組をしてほしい」っていうのをずっと言ってたと思うんです。デザイン的にムダをなくして、費用は抑えて、それでいて、できるだけ多くの内容を載せたい、と。それを一番強く伝えてました。

うんうん。めっちゃ言うてたなぁ。

そもそも僕の原稿は、もともとはブログに掲載していたもので、ずっと「小見出し」って呼んできましたけど、“だから”とか“それやのに”とか、接続詞が出てくるたびに前後の2行分がムダになるつくりだったんですよね。それもあって、「文字の組み方をどうしようか」っていう話から始めた気がしますね。

そうやね。最初は本のサイズとかも決めてなかったよな? このサイズで行くって言うてた?

えっとね。確か僕が平山さんにいちばん最初に参考として見せたのが、佐々木敦の『ソフト&ハード』っていう本だったと思います。雑多な内容が編集されて詰まってるっていうようなものをイメージしてて。おそらくサイズもその本と同じがいいかもっていう話はしてたような気がします。

結局はあの本よりデカいな。

そうですね。結局は四六版ですよね。書籍でいちばん一般的なのはA5ですか?

ん〜、そうかなぁ。どうやろ。最初はA5にしようかって話をしてた気がするな。

あと僕が伝えたのは、とりあえず「文字組も楽しんでもらいたい」っていうところ。普段の仕事ではできないような実験的な文字組とかもやってもらって構わないっていうことを言ってました。

うん、そうやね。

最初に提案してもらったカンプでは、たとえば家族ネタとか、柔らかいトーンのページは、マージンとか文字間とかのスペースをたくさんとって、ゆったりと読めるような。逆に戦争の話とかだと、マージンとかも省いてページいっぱいいっぱいまで文字を流すことで、緊張感のあるイメージを、みたいなことを提案してくれて。

そうそう。最終的にはそういことはできへんかったけどなぁ。

そんな感じで希望に満ち満ちた感じで始まりましたね。「これはものすごいおもしろいことができるかも!」って。あとあれですよね。本文を何段組みにするかっていう話はしましたよね。2段組みにするのか3段組みにするのか。最終的には2段組みになりました。

うん。小見出しになる部分が「だから……」とか「せやけど……」みたいな感じで長いものがない、と。だったら3段組みの方が効率がいいんじゃないかっていう話やったよな。でも3段組みにしたら、案外ムダが出るってことが分かって。ページをかせぐには2段組みがいいっていうところに落ち着いた。

かつ、最初と最後、「序イーアー」と「終イーアー」に関しては1段組みで余韻の残る感じで組む、と。

じっくり、ゆっくり読ませる感じで。

あとね、いちばん最初は今となっては幻の「ディスクレビュー」を入れるっていうことでしたよね。僕が今までにいろんなところで書いてきたディスクレビューを。最初の構想では、日記が6割、インタビューとディスクレビューが2割ずつ、みたいな感じでした。いろんなことを経て経て、だいぶカタチは変わっていった。

そうやったなぁ。 俺、 ディスクレビューのページ、デザインしたのに。

すいません(笑)。ページの構成も結局、佐々木さんの『ソフト&ハード』とか磯部さんの『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』っていう本を参考に考えてたんですよね。でも最終的には、ほぼ日記っていうことになりました。平山さんはどうだったんですか? その時は岡田さんがガッツリ手伝ってくれるっていうのは分かってなかったわけで。それこそ、こういう320ページにも及ぶ本を作るっていう経験はなかったわけじゃないですか。

うん。予想してた以上に時間かかるんやなって。やっぱりページ数が多いとひとつの修正にもめっちゃ時間がかかるし。衝撃やったよ(笑)

そうですよね(笑)

しかも俺もあめやんも作り慣れてないフワフワした状態で、どこをガッチリ決めて、どこを緩くしておくんか、みたいなことも分からんかったからさ。

あぁ、そうや。それがありましたよね! つまり、値段を決めることで他を決めるのか、もしくはページ数を先に決めるのか、さらに文字数を優先で決めるのか。

本来の本づくりはどうなのかっていうのが分からんままに終わったもんな(笑)

ほんまに(笑)。何を軸に決めていくのかが分からなかった。

今回は結局、値段とページ数をちょっとずつすりあわせながら良いところで着地した感じやったけど。

そうでしたよねー。ほんとにそれが分からんからアーダコーダ言いながらやりましたよね。

最初の時点ではあめやんからも大体の予算感っていうのを聞いてなかったから、決めにくかったなぁ。そのあとに、だいたい30万くらいでできればっていうのを聞いて。

はい。結果的には満足いくページ数を、満足の行く値段でできたんで、ものすごいなって思いましたけどね。モノスゲエなって。ボッケェな! って思いましたね。

ボッケェ!!!

ボッケェ!!!!!!

それが2009年の3〜4月くらいでしたねー。

そのまま10月くらいまでユルユルユルユル進んでいって、その辺りから「年内になんとかしたい!」っていうことでグッとアクセルを踏み直した。

そうでしたね。そんなことでスタートしました。
ま、岡田さんはいまだ喋らずっていう。

おいおい! ちょっと喋ったわ! ディスクレビューのくだり!!(笑)


【第2回】「あら、いいですねぇ』が何度も押し寄せて……」を読む