音を、伝える人が、語る、音。

プロフィール

中谷 琢哉
中谷 琢哉

ライター。これまでの主な寄稿先は「Lmagazine」「カジカジ」「QUICK JAPAN」「SPA!」「Spectator」「bounce」「ぴあ関西版」「Meets Regional」など。バンタンデザイン研究所・大阪校講師(マガジンエディター・コース)。CD/DVDの宣伝、フリーマガジン/ウェブサイトの運営・制作にも携わる。「cyo」の屋号で音楽イベントの主催・企画制作も。バイアスとニュートラルを持ち合わせています。

http://www.cyoweb.com/

http://twitter.com/cyonakatani

読者はバカ? [収録日]2010.5.3

  • 中谷 琢弥
  • あめのもりたけし

いま中谷君は学校でライティングを教えてますよね。ライターの卵がたくさんいる。そういう人たちに「何のための仕事なのか」というのを、どのように伝えてるんですか?

最初に「リアルな言葉以外で書かないでくれ」というのは言います。

「リアルな言葉」とは?

「プラスチックワード」って言いますけど、“それっぽい言葉”ってあるじゃないですか。今やったら「エコ」も完全にそうやし、いっぱいあるでしょ? それを使ってしまうと、みんなが何となく分かったような気になるけど、実際は伝わらない。それの反対の言葉。リアルな言葉。“自分の言葉”というか。

確かにそれは大事ですね。でもリアルな言葉だけじゃ何ともならんこともありますけどね。

ですね。でもそれを一番最初に言いますね。そして「なぜ書きたいのか」「なぜ編集をしたいのか」それは絶対に持ち続けるように。

で、そういう子たちはなぜ書きたいんでしょう。

まあ何となくの憧れでしょ。

そっか。基本的にはかっこいいとされる業界ですしね。

あとは自分の好きなファッションの人だとかに会えるとかそんな感じでしょう。ミュージシャンに会える、とか。あとは書くのが好き、とかね。

ん〜、リアルな言葉ね〜。確かにそこはでかいですよね。

そう。あとは「言霊は伝わる」っていう話はしますね。

ほう。

僕はめちゃめちゃ込めるんで。だからこそ逆にどうでもいい文章には込めない。なぜなら、これも授業で言うんですけど、“読者はバカじゃない”。だから分かるんですよね。だって僕らも見たら分かるでしょ? 「コレ、気合い入った文章やな」とか、「あ、手ぇ抜きよった」とか。

僕もそれは分かるつもりなんですけど、僕はどっちかって言うと「読者はバカ」やと思ってて。読者はバカというか、「バカなやつの方が圧倒的に多い」くらいかな? だからこそちゃんとプロが導いてあげないといけない。素人は何も分かってないから。

何も分かってないですよ。何も分かってないんですけど、ニュアンスだけは汲み取れるんですよ。

あ、なるほどね。

「あ、これ何かよさそう」とか「よくなさそう」とか、その違いは分かるんです。

うん、そうですよね。でもね、バカですから、みんな(笑)

アハハハハ。

店長の大先輩なのでアール

いま“モノを書く”っていうことに関して、敷居がどんどん下がってますよね? みんな、ちょっとブログ持ったからって一端のライターを気取って批評風なことをしたりだとか……

でもすごい上手に書いてる人もいますよね。僕はあんまし見ないですけど、時々すごいなって思う人もいる。

確かにそれもそうですね。でもね、例えばロッキング・オンには投稿のページがある。もともと雑誌ってそういう風に作られるじゃないですか。僕はそういうページがすごく気持ち悪くて。やっぱりプロにはプロの領域があって然るべきやし、プロはそこを守るためにやらないといけない。素人が簡単には入ってこられへんような領域を死守しないといけない。でも、そういう敷居はどんどん低くなってる気はしてます。

ん〜……

僕は一つの雑誌を買ったら、全ページでプロの気合いの入った文章を読みたい。素人がちょっとテンション上がって書いたようなものはいらない。じゃあそのプロと素人の違いっていうのは何なんやろって考えると、もちろん“テクニック”的なところもあるとは思うんですけど、それはあくまで上澄みでしょ?

やっぱりね、責任感じゃないかな。お金をもらってる責任感かな?

ん〜、あとは圧倒的な量。聴いてきた量。

それはほんとに聴いてると思いますよ。僕はまだ聴いてない方ですけど。

確かに、1枚を語るとしても、10枚のバックボーンがあるのと、その1枚しかないとでは全然違う。でもね、楽しいですか? そんなにいっぱい聴いてて。

あ〜、えっとね。別に1日中聴いてる訳ではないんで……

じゃあ1日中でも聴こうと思えば音楽を聴けますか?

聴けないです。ぜったい。あ、聴けるけど(笑)、でも聴く気はない。僕にとっては「たかが音楽」なんで。


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